よたろぐ

弾き語り、おりたたみ自転車とカメラのブログ

管理職に必要な能力

欧米の企業では管理職として求められる能力が日本とは違うな、と感じます。

 

日本の場合は、実務で実績を上げた人が管理職になってチームを率いていくケースが多いと思います。欧米でもこのような形で管理職に引き上げられるのですが、実績に加えて管理職としての適性があるのかを判断されることが多いです。

 

管理職の適性とは、この場合人を管理=Manageする能力を指します。そして、この『Manage』の定義も日本とは異なるように感じます。

 

日本の企業では『俺の背中を見て学べ』タイプの管理職が多いですよね。自分がやってきた経験をもとに指示を出してチームとしての結果を残していく。自分のやり方で部下に経験を積ませていくという感じです。


これに対して欧米の管理職は自分のやり方を押し付けません。部下が、自分で判断して残した結果でなければ意味がないと考えることが多いからです。例えば、管理職としてすべきこととしてよく使われる言葉にguide (導く)や engage(引きつける)があります。両方とも、あまり強制的な印象のない単語です。部下が自発的に判断するための材料を提供する、それが欧米における管理職の適性になるんだと思います。

 

もちろんこれは誰でもできることではありません。だからできない人は周りの厳しい目にさらされることになります。その過程で適性のない管理職は淘汰をされていくので、欧米の上司部下の軋轢は日本のそれと比べると少ないような気がします。そういった意味で、欧米で働く方が気持ちは楽だということが言えるかもしれません。

 

ただ、軋轢が少ない理由はもう1つあります。欧米の上司部下に軋轢が生まれた場合、結構な割合で部下が退職していくからです。クビにする訳ではないですが(することもあるけど)、合理的に辞める方向に部下をguide や engageしていきます。だからチーム内での軋轢が少ないという側面も否めません。

 

日本の管理職はそう言う自由がないので比べるのはアンフェアだと思うかもしれませんが、個人的にはそうは思いません。なぜなら欧米の管理職はクビになるリスクがとても高いからです。目標を与えられて、それに到達できなければ会社を去る。その責任を負わされているので部下にも厳しい姿勢でのぞむことが許されるのだと思います。

 

言葉だけ聞くと怖い話に聞こえるかもしれませんが、結構合理的なことだと思います。仕事や人と言うのは必ず相性があって、現会社でうまくいかなくても能力が低いというわけではありません。次の会社で、能力を引き出せる仕事や人がいるかもしれない。そうやって次のチャンスを得られるわけですから、上司にとっても部下にとってもメリットのあるやり方だと思います。

 

逆に、日本のように雇用を固定化してしまうと、適性のない管理職を生んでしまいます。ダメな上司だけど自分も辞められないし、上司もダメなくせに居座る。これは誰も得をしない仕組みじゃないかなと思います。

 

僕もイギリスで管理職として働いていますが、このまま会社にいられる可能性は低いだろうな、と思っています。それでも、ここで管理職として働けることは日本では得られない財産だと感じます。きっと日本に帰ることになっても役に立つ経験だと信じて、これからもやれるだけやって行こうと思います。