よたろぐ

弾き語り、おりたたみ自転車とカメラのブログ

よいアコースティックギターの選び方

僕は、よいアコースティックギターとはよく『鳴る』ギターだと思っています。概念的ですがここでは空気を振動させて、ギターの中で音が回るギターをイメージしています。

 

空気を振動させるギターを弾くと、脇の下でギターが震えている感じがします。この振動は空気を震わせて聴いている人に伝わり、聴いている人はお腹のあたりがざわざわするような感覚になり、耳だけではなく体で音を聞くことができます。

 

音が回るというのは、音が一方通行で前に進むのではなく、自分の周りでグルグル回っている感覚があることです。弾いている人も聴いている人も残響音に包まれ、しかもそれが単純に減衰するのではなく波のような余韻を残しながら減衰していきます

 

こういうギターはコードを1度鳴らせばすぐにわかります。長時間の試奏は必要ありません。コードの音だけで感動するし、振動も余韻も簡単に感じることができます。逆に1度コードを鳴らして感動しなかったらおそらくそれは『鳴る』ギターではないのだと思います。

 

 

とても抽象的な話しで行いピンと来ない。ともすると何かの勧誘のよう…。

 

そう感じるのは『鳴る』ギターの音を聞く機会が少ないからです。

 

CDなどの音源の中では、アコースティックギターは必ずと言っていいほど中・低音域を削られます。この音域の量が多すぎると、スピーカーやヘッドホンで聞いたときにモヤモヤ・ボヤボヤした音に聞こえてしまうためです。ところが、生で聞くとこの中・低音域が『鳴り』の重要な要素になります。だから録音された音源からは『鳴り』を感じることはできません。プロの人たちは『鳴る』ギターを使っています。でも残念ながらそれは音源を通してはほとんど届かないんです。

 

高級ギターと言えばGibson, Martin, Taylorなどなど。楽器屋さんに行くとこれらのギターを試しがちです。でも僕の経験上、これらのメーカーに『鳴る』ギターは多くないです。ものすごく高いモデルになれば『鳴る』のかもしれませんが、そんなの怖くて弾けません。僕が弾いたことがあるのは、高くても30万円くらいまでのもの。30万円でも十分高額だと思うけど、有名メーカーでそのくらいのレンジだとあんまり『鳴る』ギターに出会える確率は高くない。だから、だから知らないメーカーを試しまくる探求心か、100万円クラスを買わないのに弾いちゃう図々しさが無ければ、楽器屋さんでも『鳴る』ギターには出会いにくいと言うことになります。

 

音源でも楽器屋でもよいギターの音に出会うのは難しい。そうなるとよいギターに対する理解がなくなり、よいギターが売れなくなっていく。結果としてよいギターが作られなくなっていく。そんなスパイラルができてしまっています。

 

ものづくりのレベルが維持されるために必要なのは、ものの価値がわかる消費者なのかもしれません。デジタルの時代になって、消費者はよいものを見抜く目を失っています。そうするとよいものはどんどん減っていきます。今のうちに買っておいた方がいいですよ、よいギター。