イギリスの郊外での暮らしと旅日記

ロンドンの南西 Guildfordという町で暮らしています。イギリスの暮らしと、旅(主に出張)、お酒と音楽の話を、あてどなく綴ります。

落馬体験

Do you have a carrot?

(この馬は関係ありません。)

 

はじめて落馬を体験して来ました。Hackの日だったのですが、牧場に行くといつものJBがいません。これまで毎回乗って来たJB。彼は怠け者で歩くのは遅く、走っても急に止まり、トイレだと言って嘘をつき歩くのをやめ、Hackに出ればその辺の草を食べまくるマイペースな子。先生には "Monkey"とか"Monster"とか呼ばれるやる気のない子なのですが、これまですべてのレッスンで下手くそな僕の相手をしてくれました。そのJBが今日はいない。代わりにいるのはJBよりふた回り大きい白馬。しかもイライラしているのか地面を蹴りまくっています。そのエボットに乗ってHackスタート。

 

速い。歩いているだけですでに速い。しかも揺れるし高い。もう全然JBと違う世界です。ズンズン前へ歩いてくれるのを楽しんでいたところ、やって来ましたTrotのお時間。先生について走り出すと、信じられないくらい揺れ、お尻が弾みます。全然エボットのリズムがつかめずどんどんバウンドが大きくなった結果、左足が足の輪(鐙:Stirrup)から外れました。そのまま弾みながら重心が左に傾いて行く。このまましがみついて馬がバランスを崩して転んだらどうしよう。ダービースタリオンの『予後不良』の画面がちらつます。そんなことになるくらいなら、と簡単に落ちる覚悟は決まりました。あとは手近の柔らかそうなところに向かって飛ぶだけ。柔道やってた親父に投げられまくってたおかげか、頭は全く打たずにうまいこと落ちることができました。それでも160cmくらいの高さから落ちるのはなかなかの衝撃でした。

 

個人的にはそのあとがおもしろかったです。先生がやって来て『大丈夫?』と聞きます。問題ないと答えたところ、そこで身体の心配は終了。そこからすぐに乗り直させ、なぜ落ちたのかを話し始めます。彼女いわく『腕が上がっていたわ。それだとバランスを失うから下げておいて。あとは足に全体重を乗せて。』とのこと。僕が足が抜けてしまったことを話すと『Stirrupを短くしてみましょう。』と自分で乗ったままStirrupを短くする方法を教えてくれました。それが終わるとすぐ『Trot行くわよ。』走り出します。落ちてすぐなので面食らいましたが今度はエボットのリズムもつかめ、うまく走ることができました。しかも3分くらい止まらずに走れたので、馬に乗ってる感が出てとても楽しかったです。止まると『よくできたじゃない。落ちなきゃよいライダーにはなれないのよ』って言って、それからも何度もTrotして1時間半のHackを終えました。

 

日本だったら落ちた時点で練習終了か、無難に歩いてその日は終える気がします。(日本で乗馬したことないからわからないです。間違ってたらすみません。)身体のことを考えたらそれが正しいような気がするのですが、もし今日そうされていたらどうだっただろう?と考えてみます。

 

たぶん乗馬の練習を躊躇するようになった気がします。痛みは我慢できるのですが、落ちてしまったことで練習に引け目を感じてしまうと思うんですよね。先生に責任を感じさせるのも嫌だし、できない生徒だと思われるのも悲しいし。実は落ちたあと、馬のエボットも少し怖がってて(『え?あんなことで落ちるのかよ。怖いよこいつ、怖いよ』って気持ちだったと思う)それも気になってました。だから僕の練習は迷惑なんだろうな、と思いかけていました。

 

でも、落ちるのを当たり前としてすぐに練習に戻ってくれたので、こう言う気持ちがすぐになくなったんです。ああ、これは気にしないでいいことなんだな、って思えたし、エボットがそのあと走ってくれたので、彼も大丈夫なんだと確認ができました。そうなると、また落ちてもいいから教わったことを試してみようと言う前向きな気になって来ます。

 

先生はこんな僕の思考回路は全く意識していないと思います。牧場の人なので、本当に大したことないと思っているだけなんでしょう。でも、こうやって相手の気持ちをケアしてあげる方法もあるんだな、と勉強になりました。

 

しかしStirrupを短くしただけであんなに乗りやすくなったのはショックだなぁ。実はJBに乗っている時もStirrupから足が外れることはよくあったんです。でもこれも短くすれば解決しそう。ってことは先生が思ったよりも僕の足がずっと短かったってことだよね…。